実証!検証!古紙の目勘(めかん)
こんにちは!斎藤英次商店マーケティングチームの中谷です。
さて皆さん、突然ですがクイズです!
下の写真に写っている段ボール、いったい何kgあると思いますか?
使用済みの段ボールや新聞、雑誌など、我々が古紙と呼ぶこれらの再生資源物の重量を気にしたこと、ご家庭から行政や自治体などの回収ステーションに出すときにはまず気にされることはないと思います。
せいぜい、ステーションまで運ぶのに、「重いな」「大変だな」程度でしょうか。
もちろんそれも大事ですが…
もし勤め先で古紙を廃棄したことがある方なら、回収業者から排出量や重量について聞かれたことがあると思います。少なくとも当社では、必ずお聞きします。
その時にありがちなのが、お聞きした重量と実際のギャップです。
そこで今回は、この「重量」についてお話したいと思います。
1.目勘って何?
タイトルにも書きました目勘とは端的に言うと、視覚的に重量を判断することです。目で見てそこにある物の重量を判断する。パッと見て「あ、それなら~kgですね。」などと言ってその通りの重量だったなら、ちょっとカッコいいですよね。今回は、そんな目勘についての古紙でのお話です。
2.なぜ重量の情報が必要か
そもそも、何で重量なんか気にするの?と思う方もいらっしゃると思います。
そこには我々の業務体系が少なからず関係しています。
まず、古紙に関わらず再資源化のための回収には、大きく分けて2つ、都度、お問い合せから回収を行ういわゆる「スポット回収」と、普段からご契約いただき定期的に回収を行っている「ルート回収」があります。そしてその割合はルート回収が大きく占めているのです。
もうひとつ、回収する際に使用する車両の問題があります。我々が資源を回収する際に使用する車両は通常のトラックやパッカー車(塵芥車)という作業車を使用しますが、当然、最大積載量というものが定められています。その重量を超えて荷物を積むことは違法となります。

↑これがパッカー車です!
そしてルート回収のルート編組には、各企業様の場所や排出量が必須情報なのです。
当社の場合もそうですが、このルートは、各事業所を拠点に、広く展開しており、スポット回収を行う際は、出来るだけルート回収に組み込みたいところです。なぜなら働き方改革により運転手の負担を減らす努力を続けること、持続可能な社会構築のためCO2排出量を抑制すること。これらを達成するには資源回収の効率化は不可避な課題なのです。
積めると思って向かったら、聞いていたよりも重量があり、最大積載量を超えてしまうため、途中でやめて、もう一度、回収に伺う。積みきれないと思って単体で回収に向かったら、聞いていたよりも少量で、これなら途中で寄れたなど。こういったことを減らすことで運転手の負担軽減とCO2排出量の削減が叶います。
3.古紙の種類と重量
さて回収依頼のほとんどは段ボール・新聞・雑誌です。
そこでお聞きします。1立米(幅1m×奥行1m×高さ1m)の空間に各素材が一杯だった場合のそれぞれの重量はどのくらいになるでしょうか。
答えは…
段ボール…50kg
新聞…150kg
雑誌…300kg
※実際には、積み方や形状、雑誌などは種類によっても重さが異なります
もちろん実際の品物により誤差があるのであくまで目安ですが、概ね上記の通り。床に置いた段ボール箱に雑誌や本を詰め込んで、持とうとしたら重くて持ち上がらない、なんて一度は経験したのではないでしょうか。見た目のサイズ感よりも雑誌や新聞は「重い」と皆さん知っているのです。
逆に段ボールは思ったより軽いと感じませんでしたか?実は回収時に聞いていた重量と違うと感じる品物もほぼ段ボールです。新聞や雑誌と違い、場所を取りかさばるうえにバラではとても持ちづらく、結わいていない段ボールは下手すると10キロ分も掴めません。
4.容器あれこれ
ご家庭では物置や玄関脇、新聞・雑誌などは部屋の片隅に積んでおくのが一般的でしょうか。段ボール含め、それぞれ基本的には結わいていると思います。
一方、企業様ですと廃棄物の置き場は何らかの形でご用意されています。その中で一般的と思われる容器はだいたい以下の4種類ではないでしょうか。
パレティーナ/メッシュパレット
積み重ねられる金属製のカゴです。屋内外様々なところで見られ、廃棄物を入れておくのにもよく使用されています。
カゴ自体に重量があるので移動にはフォークリフトを用います。
カゴ台車/ロールボックスパレット/カーゴテナー
手前が解放されているものが多く、スーパーや小売店などのバックヤードに多く見られます。
納品時の商品移動だけでなく、廃棄物置き(主に資源物)にも利用することが一般的なようです。
呼び名の通りキャスター付きなので、荷物の台車として機能します。
フレコン(バッグ)/トン袋
特に建設現場などで一般的だと思います。
現場では様々な種類の廃棄物入れとして重宝されていますが、原料や再生ペレットなどの微粒な素材の運搬にも使用されています。
番外編 トラック
言わずと知れたトラックです。当社でも排出量をお聞きすると、トラック○台分と表現する方もいらっしゃいます。その場合、大概は容量をイメージしており重量をイメージする方は多くはないでしょう。
ミカン箱
意外と使われる表現です。色々調べてみても、微妙にサイズが違いますが、まぁイメージする箱はほぼ同じ。
おおよそW400mm×D350mm×H350mm(※いくつかの平均値で記載しています)程度の段ボール箱です。
5.重量の目安
ではそれぞれの容器で古紙を保管した場合、どれくらいの重量を保管できるでしょうか。
段ボールの場合
畳んでいることを前提としてお話しますが、パレティーナやフレコンでは、たいして溜められないでしょう。
頑張って30kg前後でしょうか。
特にフレコンなどは入れづらく、隙間もできやすいので重量としては軽くなります。
意外と積めるのがカゴ台車で小さいサイズでも50kg程度、大きいサイズなら80kgほど積めるものもあります。
車両まで人の手で台車を転がしていけるという点でも便利です。
ちなみに2tトラックに無造作に積んだ場合、だいたい100kg程度でしょう。
ではこちらの軽トラックの荷台にある段ボールは何kgだと思いますか?
正解は…20kgでした!
新聞の場合
古新聞を高く積むのは難しく、カゴ台車に溜めることは稀ですし、せいぜい2~3段までしか積んでいるのを見たことはありません。
パレティーナにしっかり詰め込めれば300kgくらいでしょうか。フレコンの場合、結わいていないバラの新聞と仮定すると、150kg程度かもしれません。
大量のバラの新聞を袋に隙間なく詰め込むというのは相当しんどい作業です。
雑誌の場合
初めからそれぞれが束になっているようなものなので、重量もありますし、形が崩れないので積みやすいですね。
例えば次の写真、パレティーナに漫画が入っています。これで何kgだと思いますか?
正解は200kgです。
もしフレコンに入れたなら400kgくらいになるかもしれません。
ちなみにご家庭だと廃棄する時は紐で結わくのが一般的だと思います。
保管や移動には段ボールを使うと思いますし同様の企業様もいらっしゃいます。雑誌にもよりますがミカン箱サイズに目一杯詰めれば20kg~30kgにもなります。
※余談ですが、雑誌は積みやすいとお話ししましたが、まさに同じ理由で梱包作業はしづらく、出荷用の雑誌プレスは形が崩れやすく注意が必要です。個々の形が強く、圧縮しても形成されないのです。
6.最後に最初の答え合わせです
さてここまで見てきた皆さんならばイメージできるでしょうか?最初にお見せした写真ですが改めて…これは何kgでしょう?
答えは…2,000kgでした!
意外と重かったですか?それとも予想より軽かったですか?
ぜひ、皆様も古紙や再生資源の回収を依頼する際には、本ブログを思いだし、排出量の参考にしていただけたら幸いです。