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斎藤英次商店本社

資源循環はシステムである。システムを維持することは可能か。

資源循環はシステムである。システムを維持することは可能なのか。

ビジネスや人間によるそのほかの企てもまたシステムである。それらも相互に関連する行動が織りなす、目に見えない構造でつながっており、互いの影響が完全に現れるまでには何年もかかる場合が多い。私たち自身がそのレース細工の一部として織り込まれているため、変化のパターン全体を見ることは二重に難しいのだ。(ピーター・センゲ 学習する組織)

システムは相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体。システムはいくつかの要素によって構成されている。システムに含まれる全ての要素は、必ず自分以外の要素に対してなんらかの影響を及ぼす。
資源を分別する人。運搬する人。利用する人。監視する人。市民、企業、行政。多くの要素で構成されている。
システムは、いたるところで強く押し合い、一方で、打ち消し合う。あるところで起きた事象は、必ずシステムのどこかに影響を与える。
資源循環は地球規模のシステムであり、規模の大きさは複雑の大きさである。私たちはこのシステムを持続しなければならないと共通のビジョンを持っている。

資源循環システム サスティナビリティ

循環型社会とは、「製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会」であるとの概念を示した。
持続可能性(サスティナビリティ)とは、人間活動、特に文明の利器を用いた活動が、将来にわたって持続できるかどうかを表す概念である。経済や社会など人間活動全般に用いられるが、特に環境問題やエネルギー問題について使用される。
増え続ける地球人口と、経済発展は、地球環境に大きな影響を与えている。この影響が人類繁栄を阻害する要因となる恐れがある。人口増加と経済成長と地球環境とを共生する社会を構築して持続させることが求められている。
循環型社会の概念のように、天然資源の消費を抑制して、廃棄物を適性に循環的に利用することが不可欠である。

ギャップ 人口 発生抑制
我が国の総人口は、平成38(2026)年に人口1億2,000万人、60(2048)年には1億人を割って9,913万人となり、72(2060)年には8,674万人になると推計されている。
総人口が減少するなかで高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、平成25(2013)年には高齢化率が25.1%で4人に1人となり、47(2035)年に33.4%で3人に1人となる。72(2060)年には39.9%に達して、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されている。4人に1人が75歳以上の高齢者となると推計されている。
65歳以上の高齢人口と20~64歳人口(現役世代)の比率をみてみると、昭和25(1950)年には1人の高齢人口に対して10.0人の現役世代がいたのに対して、平成22(2010)年には高齢者1人に対して現役世代2.6人になっている。今後、高齢化率は上昇を続け、現役世代の割合は低下し、72(2060)年には、1人の高齢人口に対して1.2人の現役世代という比率になる。仮に20~69歳を支え手とし、70歳以上を高齢人口として計算してみても、70歳以上の高齢人口1人に対して20~69歳人口1.4人という比率となる。
(内閣府 平成24年高齢化白書から)
人口の減少と高齢化社会は、資源循環システムに影響を与える。資源物は人口の減少と比例して減少していく。消費を行う生産年齢人口は減り、高齢人口が増えるので、人口の減少以上に資源物が減るであろう。
資源循環システムにある発生抑制は、強く押されるようになるであろう。ダウンサイジング、軽量化、ロス軽減が行われる。また、使い捨ての見直しが進み、繰り返し使用ができるようになるだろう。リサイクルしやすい商品からリユースしやすい商品開発が進んでいく。
人口の変化と発生抑制の変化は、資源物の減少という変化をもたらす。

2010年の世界人口は69億人である。2030年には83.2億人に増え2050年の世界人口の予測は93.1億人、2083年に世界人口は100億人を越えると予測されている。
長らく人口大国といえば、第1に中国、第2にインド、そして第3位は米国という順であったが、2100年には、インドが中国を抜いて第1位となると予測されている。かつて大インドを構成していたパキスタンとバングラデシュも人口をかなり増加させ、パキスタンはブラジル、インドネシアを抜いて世界第4位に躍進すると予測されているので、南アジアは世界最大の人口集積地となる。
世界の中のGDPシェアが大きく拡大した東アジアの日本、中国、韓国については、人口的にはすべて少子高齢化の影響で人口は減少すると推計されている。ドイツ、イタリア、そして旧ソ連のロシア、ウクライナなども人口減少が予想されている。
(国連の人口推計の2010年改訂から)
資源物は、世界に流通している。世界規模の循環システムが構築されている。経済成長は地球人口の増加と共にある。経済成長の著しい国は、資源物の不足する国でもある。今の中国は世界中から資源物を買っている。やがて中国は人口減少から資源物の購入は勢いを失うであろう。また、一方でインドなどが台頭してくる。
2030年には80億人を超えることから、果たして地球は大丈夫なのかと自然に思う。

日本は資源物の供給量が減少を続ける一方で世界ではその需要が大きく増える。大きなギャップがある。ギャップはシステムに大きな影響を与える。
資源物を事業にしている者にとって、市場規模の縮小は大きな経営課題である。その課題を如何にして解消するのか。体力を消耗させるような過当競争になる可能性は高い。
供給が減り需要が増えるギャップに資源物流通は、どう変化してくのだろうか。価格高騰を招くのだろうか。代替品によって不足を補うことになるのだろうか。資源物が高騰したとして、そのコストはだれが負担することになるのだろうか。
少子高齢化は、税収の減少と、社会保障費の増加となる。財源に悩む行政は、資源循環システムに、どんな影響を与えるのだろうか。
システムの一部である私たちは、システムに与える影響を感じ取るのが難しい。気付かぬうちに変化は進行している。

イノベーション
資源循環システムの持続は、変化に適応することで行われる。

システムの維持は難しい。地球規模である資源循環システムは、人口の変化、発生抑制など、多くの影響に耐えられなくなるかもしれない。規模が大きいために維持する難易度もとても大きいものとなる。
一方、持続可能、サスティナビリティなシステムを構築する動きがある。持続させようとする動きは、資源循環システムに強く働く。そこから、資源循環システムは変化していく。システムの変化は、私たちに好ましいものであるとは限らない。

対話がシステムに作用する

資源循環に卓越した知識を持つ、私たちが果たすべき役割は大きい。資源物を提供する者。利用する者。排出する者。支援する者。資源循環のセクションにおいて卓越した人たちがマネジメントしているからこそ、現在の資源循環はシステムとして機能している。
人口や発生抑制のギャップがシステムに与える影響について考え、現在のシステムにするべきことを行わなければならない。
セクションが単独で行うことの成果は小さい。セクションの卓越した人々が集団となり、個人のものの見方を超えて、より大きな成果を探すことができる。資源物を提供する者。利用する者。排出する者。支援する者。が集まり対話することが資源循環システムに作用する。こうして、ギャップから生じる変化に適応していくことはできないであろうか。資源循環はシステムである。システムを維持することは可能なのか。

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