リチウムイオン電池の回収サービスを開始します!
プロローグ
今では「資源」と呼ばれるものも、昔はただのゴミでした。
いまではリサイクル率が80%近くある紙でさえ、市場にある半分ほどの紙しか回収できていなかった時代があります。
そんな紙の循環の現場に立ち続けていたのが、私たち斎藤英次商店です。
これまでも、紙のリサイクルの循環の一部として、市場からの回収・運搬しやすいような加工の役割を担ってきました。
そして近年ではこの経験を活かし、紙以外の再生資源──古着やペットボトルなどの回収にも力を入れています。
どんなものでももう一度生かすことができる、「廃棄物のない社会」を作り出したい。
それが私たちの信念であり、使命でもあるのです。
そして、2025年11月。
私たちは新たな再生資源循環に挑みます。

変わりゆく資源の流れ
私たちが古紙や古着、プラスチックなどのリサイクルに取り組んでいく中で、ここ数年、回収現場で問題視されていることがあります。
それは──リチウムイオン電池による火災事故です。
例えば、スマートフォン、ノートパソコン、ワイヤレスイヤホン、そして電気自動車など。
気がつけば、身の回りのあらゆるものが「充電可能なリチウムイオン電池製品の時代」になっていました。
その便利さの裏で、見過ごせないリスクが広がっていたのです。
リチウムイオン電池が混ざったまま資源回収され、トラックや処理施設で発火する。
一度火がつけば、あっという間に燃え広がり、安全を脅かす。
「どうして、こんなことが起きるのだろう?」
「安全に集める仕組みはないのか?」
現場のスタッフも、地域の人々も、このような不安を抱いていると思います。
便利さと危険が同居するこの小さな電池が、現代社会に新しい課題を突きつけています。

(当社のRC内で回収物内にまざっており、発火してしまった、空調服に使用されているリチウムイオン電池)
危険と隣り合わせの「希少資源」
リチウムイオン電池という言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
実はこのリチウムイオン電池、ただの電池ではなく、希少な金属資源のかたまりでもあります。
リチウム、コバルト、ニッケル。これらは世界的にも重要な希少金属(レアメタル)です。
この希少な資源を無駄にせず、なるべく再利用するためにも、市場に出たリチウムイオン電池の回収は必須だといえます。
しかし、回収の仕方や管理の仕方を誤れば、火災を起こしてしまう可能性もある。
リチウムイオン電池を再利用するには、そのような課題が立ちふさがっていました。
実際に、近年リチウムイオン電池が原因の火災は全国的に増加しており、
自治体や行政機関も対応に追われています。
これまで私たちが扱ってきた古紙や古着、プラスチックは、どれも安全に集められる資源でした。回収車両で集め、拠点に積み上げ、仕分けして出荷する。
扱うものが危険という感覚は、これまでほとんどありませんでした。
しかし、リチウムイオン電池は違います。
一見するとただの電池に見えても、その内部には高密度のエネルギーが詰まっています。
もし回収する際に強い衝撃が加わって、内部が損傷したりすれば、火が出る。煙が上がる。最悪の場合、火災へとつながる。
私たち斎藤英次商店が、それを扱うということは、
「新しい危険と向き合う覚悟」を持つということでした。
試行錯誤のはじまり
最初にこの問題に直面したとき、私たちの正直な感想は「怖い」でした。
これまでの古紙のノウハウの延長では対応できない。
安全を確保しながら回収するには、根本的な仕組みから考え直す必要があったのです。
まず取り組んだのは、学ぶことでした。
リチウムイオン電池の構造、発火のメカニズム、危険性の判断基準。
このような知識を吸収するために、リチウムイオン電池の再資源化を積極的に行っている会社さんと何度も話し合い、リチウムイオン電池そのものの解像度を上げていきました。
そうすることで、この回収・運搬方法なら限りなく発火の可能性が低い方法を、見つけることができました。
新しい挑戦の中で、知らないことを知り、分からないことを無くしていく。
困難なことに挑むことで、自分たちが成長していることを実感していました。
新しい挑戦、始動
そしてついに、2025年11月17日。
斎藤英次商店は、「リチウムイオン電池回収サービス」の受付スタートいたします!
これは単なる新しいサービスではありません。
これまでの経験と、現場で培った安全意識、
そして地域からの信頼があってこその新しい挑戦です。
社員の1人はこう話します。
「最初は正直、めちゃくちゃ不安でした。でも、リチウムイオン電池について詳しくなり、火災のことや資源循環のことを知っていくうちに、“自分たちがやらなければ誰がやるんだ”と思うようになりました。」

(リチウムイオン電池回収サービスを担当する、サーキュラー推進部・安達)
次の時代のリサイクルへ
世界では今、リチウムイオン電池の需要が急増しています。
それに伴って、使用済み電池のリサイクルは、これからの社会インフラの一部になるといわれています。
つまり、今後は「電池をどう捨てるか」ではなく、
「どう再び生かすか」が問われる時代になるのです。
私たちはこの流れを「チャンス」と捉えています。
紙を回収して循環させてきた経験。
地域とともにリサイクルを育ててきた実績。
それらを活かして、次の時代にふさわしい資源循環の形をつくっていきます。
エピローグ
2025年11月17日。
この日、斎藤英次商店はまた一つ、新しいページを開きます。
いまだにどの企業も中々進められていない「リチウムイオン電池回収」を、安全に実行する仕組みをつくり、
依頼してくださったお客様が
「回収してくれて、ありがとう!」
「斎藤英次商店に頼んでよかった」
と仰っていただけるようなサービスを提供します。
それが、私たち斎藤英次商店が掲げる使命である「なにかしなきゃを、できてよかったに」にまた一つ近づけた証明になると信じています。

